<   2006年 11月 ( 14 )   > この月の画像一覧

イタリア料理留学記3 温かいきもち

f0023069_0281054.jpg
 
プーリアでのレッスンは、朝10時くらいから始まって、たんまり3時間ほどかけてお料理をつくる。遅めにお昼をとった後は満腹なので、そのままお昼寝をしてしまったり、オリーブ畑を散歩したり。日差しは夏のそれとくらべればだいぶ和らいできて、オリーブのふくらみはじめた青い実を見つめるだけでも心が十分癒される。
 そんなプーリアの優しい空気のように、トニーノと奥さんのマリア・グラツィア、それに彼らの家に集う人々はとても温かい。
 まず、日々のレッスンにそれは表れていて、トニーノはじっくりと時間をかけて、料理の手法や原理まで説明してくれる。分からないことはないか、と念をおしてきいれくれるのもうれしい。
 奥さんのマリア・グラツィアは母屋に滞在中の私たちが快適に過ごせるようにと、小まめに部屋やバスルームをお掃除してくれた。正直、そんなにしてもらっては申し訳ない、と思っていたのだけれど、こうやって世話をするのが彼らにとっても喜びであるようだったので、素直に甘えることにした。
 f0023069_0254364.jpg
また、トニーノは料理専門、なので「ドルチェもやりたーい!」というと彼女がお菓子を教えてくれるのだった。そうすると、イタリアの女の人というのはほんとに気軽にお菓子をつくるな、という印象をうける。マリア・グラツィアは小学校の算数の先生をしているのだけれど、仕事からかえってきてから「じゃあ、ケーキやこうか。」とさらっと言う。私なんて、仕事の後にケーキを焼く気力なんて無いのに。そのケーキというのも実に豪快に材料を混ぜて型に流し込んで焼いてしまうので、たしかに仕事の後でも焼く気になるのだろう。そんな気負わないお菓子作りを私はいいなあと思う。マリア・グラツィアに習ったそんなお菓子もBuonaForchettaで登場すること間違いなし。

f0023069_026571.jpg


プーリア名物の「タラッリ」というクッキーがあり、それも彼らにリクエストしたところ「それなら、私のzia(伯母さん)がとっても上手なのよ。だから呼んであげるわ。」と、マリア・グラツィアはziaにアポイントをとってくれた。
 翌日、朝早くから意気揚々と元気そうなおばあちゃんが、日本人に自慢料理を教えるためにきてくれるのだった。このパワフルおばあちゃんからおそわったタラッリがほんとに美味しい!
タラッリを発酵させている間に、教えてくれたナス料理やプーリア風のフォカッチャ。
「いい?お鍋のふたを取るときはこうやってとるのよ。そうするとガス台が雫で汚れないんだから」
「いい?揚げ物はこうやってひっくりかえすのよ。」(でもとってもやりづらい)
ziaは、実に事細かくあれやこれやと思いつく限りのことを教えてくれるのだった。

一緒に昼食をとってかからしばらく休憩してからも引き続き、ziaのレッスン。
夕方いっぱいまでお料理を教えてくれると、彼女は満足そうに車を運転して帰ってしまった。
なんとまあ、彼女はほんとに私たちに料理を教えるためだけに遠路はるばるきてくれたのだった。またまたわがままを言って、めんどくさいものなんかも作らせてしまったというのに。

 あまりにもみんなが親切なのでトニーノについ聞いてしまった。
「どうして、あなたたちはこんなに親切なの」と。
そうするとトニーノは
「ボクの周りにいる人たちはボクにとても親切にしてくれるんだ。だからボクが他の人に親切にするのは当然のことなんだよ」と、ややはにかみながら言うのだった。

 だから、このやさしいプーリアの人々がいるこのお家を離れる日になると、とても悲しい気持ちになってしまった。最後の昼のレッスンが終わると、駅までおくってくれたトニーノたち。
駅の改札までならいざしらず、行き先の電車を確認してくれてホームまで見送ってくれる。
マリア・グラツィアが「涙でちゃうからもう行くね!」といって、ホームを離れてくれなければ、私も危うく電車で号泣するところだった。一足先に、空港でお別れしたカナコさんのときもおなじことだった。

 オリーブが織り成す穏やかな空気と、優しい温かい人たちがいるプーリアに私はまた帰ってこようと、バーリにむかう電車の中で心に決めた。

                                         (2006.10.1)
[PR]
by buonaforchetta | 2006-11-13 00:04 | 2006年イタリア滞在記

イタリア料理留学記2 トニーノのレッスン

 夢のようなオリーブの木々に囲まれたお家の、これまら愛らしいキッチンでは、トニーノが物静かながら、長年レストランで働いてきた経験をもとに、親切丁寧に料理を教えてくれた。
 
特に、私がリクエストしていたムール貝を使ったお料理!
不気味にフジツボがこびりついたムール貝を一個一個キレイにお掃除するのは一苦労だけれど、その労働には意味があり、一切期待を裏切らない味。ムール貝のパン粉焼きから、ムール貝とライスのオーブン焼き、時にはムール貝を出汁にしてしまう贅沢なスープ。
 トニーノに「何がやりたい?」ときかれるたびに「ムール貝!」としつこく言っていたので、トニーノ家を後にする頃にはすっかりムール貝を掃除するのが好きになってしまっていた。
f0023069_13282.jpgf0023069_1322594.jpg


 トニーノのレッスンでは1回ごとに野菜を使った複数の前菜を作ることが多かった。もともとプーリア料理と言うのは前菜がたっぷりでてくる特徴があり、それに、豊かな大地がもたらす野菜が使われるのは当然のことのようだ。良質のオリーブオイルとほんの数種の調味料を用いた、おどろくほどシンプルな野菜料理の数々は体を癒してくれるものばかり。
 ここで習った野菜料理はぜひ、BuonaForchettaのレッスンでも取り入れますね。
f0023069_1431828.jpgf0023069_1434386.jpg


 私の滞在の途中から、仙台のイタリア料理教室BuonAppetitoのカナコ先 もトニーノのレッスンに合流。カナコさんとは初対面ではあったのだけれど、私はちっちゃくてキレイな彼女を一目で大好きになってしまった。料理教室という仕事、私も仙台に住んでいたことがあるので何かと共通点があり、とても意気投合してしまい滞在中はいつも2人でとってもおもしろおかしおしゃべりをして過ごした。周りから見たら昔からの友達に見えるほどのようだったらしい。
 イタリアで、イタリア人と知り合いになるということは、これから何回もイタリアに来て料理を勉強したいと思っている私にとって大事なことだけれど、こうして、共通の趣味をもった日本人と仲良くなるというのも私にとってはとっても貴重な財産なので、私は今回プーリアで彼女に知り合えたのはほんとに大きな収穫だと思った。
 そんなわけで、カナコさんが合流してから、小難しい手打ちパスタを一緒につくったり、日本人なら「ええーっ!」と言いかねない大胆なお菓子の作り方を習ったり、トニーノに甘えてドライブに連れて行ってもらったりと、毎日毎日がさらに楽しくて楽しくてならなかった。


f0023069_22582.jpg

私たち2人の写真を撮るためにスポットを当ててくれるトニーノの奥さん、マリア・グラツィア。

                                    (2006.9.25~10.1)

 
[PR]
by buonaforchetta | 2006-11-12 01:32 | 2006年イタリア滞在記

イタリア料理留学記1 オリーブとトゥルッリ

 9月の下旬に5日間ほど、結婚式の準備やらローマの見残した観光地を1人で満喫してから向かった先はイタリアのかかとのプーリア州。青い青いきれいな海が見えたと思ったら、海に突っ込むんじゃないかと言うくらい、海上を低空飛行して、海岸すれすれのブリンディシ空港に到着。
 とっても小さなブリンディシ空港の到着ゲートで私に声をかけてきてくれたのがトニーノ。今回のプーリアステイはコーディネーターさんにお任せだったので、私はブリンディシ空港でトニーノというホームステイ先のシェフに落ち合うと言うこと以外はなにも情報が無いままでむかったのだった。そのため、空港で「manatsu?」とこえをかけてきたトニーノは、私の想像よりはるかに若くて、物静かそうな穏やかなかんじだったのには正直驚いてしまった。

 ひとしきりあいさつを済ませると、空港から30分という彼の家に向かった。その道々でみるのはどっしりとした貫禄のあるオリーブの木だった。オリーブは何回も見たことがあったけど、ここまでどっしりとした木は見たことがなく、それだけで感動しっぱなしだった。そんなので喜んでいる私にトニーノは「ここからあっちの端までみえなくなるまで続いているのはぜんぶオリーブだよ」と教えてくれる。さすが、イタリアのオリーブオイル産出№1のプーリア州。
f0023069_0433689.jpg

 いままでみてきたイタリアのどことも違うこのオリーブで埋め尽くされた赤い大地を飽きることなく目に焼き付けると、車はオリーブ畑の隙間に延びた横道にそれていく。
「もうすぐ家だよ」と彼が指差す低い石垣が詰まれたぼこぼこ道の先には、ちょこんと三角屋根がのぞいている。そしてその反対側には母屋
 
f0023069_1114079.jpg

 もう私は窒息しそうだった!こんなにかわいいおうちに泊まるなんて!築数百年というお宅を手入れしなおした彼のおうちの壁はうすピンク色の石が積み重なっていて、その玄関に小さい木陰を作っている老オリーブ。
f0023069_1102235.jpg

 そしてその反対側には白い塗り壁の三角屋根の建物。こちらはアルベロベッロでおなじみのトゥルッリというプーリア伝統の住宅だ。なんと彼は広大なオリーブ畑の中で、こちらのトゥルッリを使ってB&Bを営む、オーナーシェフなのであった。
 私のイタリア留学、出だしからついている!こんな夢みたいなかわいいおうちでいったいどんなお料理を習うのかと思うと、顔がにやけてにやけて仕方がなかった。
                                            (2006.9.25)
[PR]
by buonaforchetta | 2006-11-12 00:22 | 2006年イタリア滞在記

ただいま♪

 本日、イタリアより無事帰国しました。
おうちでゆっくりしようと思ったら、案の定、えなりくんがお化け屋敷のように家を荒らしたまま新婚旅行に旅立ってきたので、息をつく暇もなく大掃除。まだ終わってません(怒)。
 そんなえなりくんも一応、わたしのだんなさんになってしまいました。写真は、わたしたちが結婚式をしたローマのカンピドリオ広場のローマ市庁舎です。
 とっても楽しかった結婚式や新婚旅行の思い出やいろいろな訪問先で習ったお料理のことなどいろいろお話したいことはたくさんあるのですが、おいおいゆっくりと。
 明日以降、UPしていきますのでお楽しみに。あ、もちろん、お料理教室再開のこともね。
f0023069_20334686.jpg

[PR]
by buonaforchetta | 2006-11-08 20:33 | 料理教室日記